NHKの「戦争証言」を見て

中居正広がナビゲータを勤めた「戦争証言」を見た。中居は出演にあたり、「戦争を体験した話を誰も語れなくなる時代はやがてくる。何も経験がなかったら、見ることも聞きこともなかったら、戦争の具体的な悲劇と教訓が自分の中でゼロになってしてしまう。日本人である以上、ゼロにしてはいけない」とコメントしたと言う。だが彼にあの戦争を評価する見識があるのだろうか。
この種の番組は、戦争の悲惨さ、無情さを採り上げ、だから戦争をしてはならないと結ぶのが常である。今一つ、そのような戦争をした日本が馬鹿だった、日本が悪かったと決め付ける。だがそれだけで良いのか、凄く疑問に思う。
番組の中で大陸打通作戦に従事した元兵士が、この作戦は意味の無い無駄なものだったと言ったら、それは死んだ兵士達に君らの死は無駄死にだったと言うようなものだ、そんなことが言えますか、と語っていたのが心に残る。あの大戦が全く意味の無い、無駄な馬鹿げた戦争だったとしたら、死んだ300万人余の人々は無駄死にしたことになる。
前大戦は本当に意味の無い戦争、やるべきでない馬鹿げた戦争だったのだろうか。日本はその馬鹿げた戦争を仕掛けた悪者だったのだろうか。
その答えは一つの仮定を置いて考えればはっきりする。即ち、もしあの戦争が無かったら、日本および世界は今どのような状態になっているだろうか。東南アジア諸国は皆独立を果たしているだろうか。戦争証言を集めるなら、東南アジア諸国とその国民がどのように考えているか、赤裸々な証言を集めるべきである。
戦後、東南アジア諸国は総て独立を獲ち取り、欧米諸国の植民地支配から脱した。その意義をどう評価するか、是非とも番組で述べて欲しい。戦争は悲惨だから戦争はすべきでないなどと、情緒的な戦争反対論に終わらせたり、日本だけが一方的に悪かったなどと言う、お決まりの結論で終わらせないで貰いたい。