日本語の乱れ

最近アナウンサが「登頂」を「とうちょう」と言う。昔は「とちょう」だった。これを「とうちょう」と言うなら「登山」は「とうざん」か。「登山」「登攀」「登頂」は「とざん」「とはん」「とちょう」だろう。
「捜索」の意味も変って来たようだ。「捜索」とは、行方不明の人や物を探し求めることで、遭難者や逃亡者などを捜索すると言う風に使う。「捜査」は捜して調べることで、特に、捜査機関が犯人を発見・確保し、証拠を捜し調べることを言う。
この二つが混同され出したのはオウム事件の報道からと思われる。あの事件報道で家宅捜索と言う言葉が使われ、凄く違和感を覚えた。それ以前は家宅捜査だった。捜索と言う場合は遭難者を捜すとか、遺失物を捜すと言うように捜す対象が始めから決まっている。捜査はそうではない。犯人の手懸りになるものを捜すなど、捜し見つける対象は決まっているわけではない。従って家宅捜索と言う言い方は非常におかしい。これは矢張り家宅捜査が正しい。
てにをはも違って来る。○○を捜索すると言った場合、○○は捜す対象である。ところが容疑者の自宅を家宅捜索すると言った場合、容疑者の自宅は言葉の本来の意味から言うなら捜す対象の筈だが、ここでは捜す場所を意味している。捜索と言う言葉に関しては使い方の混乱からてにをはが混乱している。このような混乱があっては文法など作れない。
このような混乱はほかにも有る。「繋ぐ」と「繋げる」、「抜く」と「抜かす」などその一例である。今日も甲子園大会の実況放送で、或る時は「繋ぐ」と言い、次には「繋げる」と言っていたアナウンサが居たが、同じ意味と思っているのだろうか。言葉知らずのアナウンサが増えたのは困ったことだ。