スパコン富岳が4部門で世界一に輝く

 嫌なニュースが続く中、素晴らしいニュースが飛び込んで来た。スパコン京の後継機である富岳が、計算速度や省エネなど4つの部門で世界一に輝いたとの報道。本当に胸がすーっとする快挙である。

 この快挙を聞いて、ふと50年余も昔の事を思い出した。当時勤務していた神戸工業は、我が国の半導体産みの親、育ての親である有住博士の指導の下、日本で最初の半導体工場を立ち上げ、日本初のトランジスタを幾つも世に出した会社だったが、昭和43年に富士通に吸収合併された。富士通はコンピューターに社運を賭けた会社で、後に名機と謳われた230-60に使用するICの製造工場を立ち上げようとしていたが、半導体技術者がどうにも足りなかった。そこで神戸工業の半導体技術者を傘下に収めるため、吸収合併したのであった。昭和44年、神戸工業の半導体技術者40数名が川崎工場に転勤し、IC工場の立ち上げに参加した。工場が正常に動き出し、生産が軌道に乗るまで、帰宅するのは毎日午前様。今なら問題になる勤務時間であった。

 日本最初の半導体工場立ち上げを始め、幾つも忘れ得ぬ思い出が有るが、富士通川崎工場におけるIC工場立ち上げも強烈な思い出として残っている。その時の名機230-60以後、ICからLSIへと発展し、今では我々の想像もつかないレベルに進化してしまった。現在は日本初のトランジスタを作った時には全く想像も出来ない高みに登ってしまい、この先どんな姿になるのか、全く見当もつかない。老兵は消え去るのみと言う言葉は正しいと実感するこの頃である。